講座
統計の見方と味わい方—統計の生きた使い方(その17)
平山 雄
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.53-56
発行日 1955年11月10日
Published Date 1955/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201062
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安倍公房といえば,最近劇作方面にも野心的な活動を示している作家であるが,東京で開催中のメキシコ美術展について,メキシコの絵画は「見るというより読むものである」といつた意味のことを,述べている.革命児パンチヨのひげの当りに,なくなつた父親の面影を見出し,画中の人物に異常の親緊さを感じたという,公房氏も,お父さんも,筆者は同郷の関係でよく知つているだけに,微笑を禁じ得なかつたのである.
こんな話を持ち出したわけは,統計も「見るというより読むに近いもの」といいたかつたからである.眼光紙背に徹すとは,まさしく,統計を見る場合に使うべき言葉で,ぼんやり見ているのでは,単に数字の羅列であり,グラフも図形の無意味な交錯としか受けとれないであろう.どうすれば,紙背に徹する眼光を養えるか,それが本稿の主眼である.
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