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宮坂技官への質問状
西 好男
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1岡山県津山保健所普及課
pp.49-52
発行日 1954年10月10日
Published Date 1954/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200824
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ドクター宮坂技官が1年有余アメリカで衛生数育技術を専攻,帰朝されたことに現場の私達は大きい期待をよせ,先生の話されたこと書かれたものに注意を集中し,壁にぶつかつた状態にある現場の衛生教育に活を入れ,新鮮な気風を注入したいと念願している者は少くないであろう.だが先生にしてみれば研究内容の整理期間でもあろうし,本省の意志として表示されるために新しい構想も練つていられる段階であることも了解される訳で,現場の者とすれば腰を落着けて待機していればよいのかも知れないが,現場はたとえその動きが効果があると否とに拘わらず,常に民衆の中に民衆と共に動いて止まないし,動かなければならないのである.これが現場というものなのである.殊に現場の衛生教育が壁にぶつかつてヘルスエヂユケーター自身が自信を失つて,右往左往しているという現状においては殊更に瞑想に耽つていられるであろう先生の青春を荒々しくそして性急にノックせざるを得ない.
私の場合先生から帰朝土産として親しくお話をお聞きしたこともあり,その後一,二の雑誌で御意見を承わり,かねて社会心理学などから学んだグループワークが今後の衛生数育技術として基礎的な地位を占めるものであることに確信をもたされたのであるが,さてこの原理と技術を民衆の中に生かそうとすると忽ち幾多の越え難い問題に包囲されてしまう.私は現場に生じたこのような問題の二,三を先生に提出して先生のお答えをお願いしたい.
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