講座
衛生教育と行動
宮坂 忠夫
pp.15-18
発行日 1954年1月10日
Published Date 1954/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200663
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はじめに:「衛生思想普及」という,わかつたような,わからぬような,この言葉が「衛生教育にとつて代られてからすでに約3年.一部の人たちは,この新しい「衛生教育」なることばを使えば,それでみんなが同じことを考えている.あるいは「衛生教育」の意味はわかりきつていると考えていたようだが,ところが言葉というものは案外やつかいなもので,現在でも人によつて衛生教育の意味が,時々,また大分,違うようである.同じことばを使いながら,その意味が違うとは,まことに不便極りない話だが,ことばにはそういうことがあり勝ちであるし,実情は,人によつて衛生教育の意味が違うという所にあるのではなかろうか.
こういう言葉のゆき違いがあるときには,いくら観念的な言い合いをしても,普通はうまくゆかないものである.衛生教育とは何かというような哲学的な論爭では,無意味だと言い切るつもりはないが,とにかくラチがあかないことだけは本当であろう.むしろ具体的なことがらを取り上げて,衛生教育かどうかを考えた方が気が利いている.
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