特集 綜合保健活動と保健従事者
衛生教育従事者
宮坂 忠夫
1
1国立公衆衛生院衛生教育室
pp.471-473
発行日 1965年8月15日
Published Date 1965/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203092
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■綜合保健活動と衛生教育
はじめに,衛生教育とは具体的にいってどういうことか,また,綜合保健活動とはどういう関係になるかといった点について考えてみよう。その考え方によって,衛生教育従事者の任務などが変ってくるからである。
およそ,われわれの仕事は,個人や集団の健康状態を改善したり,向上したりすることであるが,それには,いろいろな手段が考えられる。生活保護,医療保護あるいは殺虫剤の無料配布などのように,経済的な援助をするのもその1つであろうし,技術的なサービスの提供もあるし,法的な手段を講ずることもある。そういう手段の1つとして,衛生教育すなわち教育的・啓蒙的な手段がある。その意味では,衛生教育も保健衛生の向上を図るための1つの手段にすぎず,衛生教育そのものが目的なのではない。こういった点が,学校教育などと,われわれがする衛生教育との,大きな相違ではないかと思う。しかし,衛生教育が手段の1つであるといっても,他の手段とは多少異なっている。かりに経済援助や技術サービスがなされても,対象が保健衛生上の問題を認識し,自覚しているのでなければ,お金も,サービスも正しく利用されずに終ってしまう。従って,衛生教育は先行しなければならぬものであり,また,基礎的で不可欠なものといえよう。
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