保健婦の壁
研究会のあり方もち方について
大場 そと江
1
1東京都砧保健所
pp.51-53
発行日 1953年10月10日
Published Date 1953/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200615
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私は去る6月10日,大阪の朝日会館講堂に於ける保健婦部会に出席し「研究発表について」種々と考えさせられましたので,ここに私の意見を卒直にのべて皆樣の御批制を受けたいと思います.
あの総会で,大阪の保健婦部会より「在宅結核患者療養実態調査」と題する立派な研究発表がありました.(詳細は部会發行研究論文集参照)それは,大阪府に於ける27年度屆出患者のうち3,924名の実態を,保健婦350名が協力して行われた大がかりの調査でした.その内容は,①患者の医療状況—これは自宅通院が6割で1番多く,放置が2割.②結核豫防法—これは7割5分が法を理解しているが,公費負担になつても治療できない人々が3〜4割あり,③患者の就業状態—は患者の6割までが休業失業している.④経費—については,患者の7割が1人の收入によつて支えられ,患者の4割は家計の中心者,というように数字をあげて説明され,さらに⑤訪問に就いて—は訪問効果判定を発病経過年数別と訪問回数別にみて,隔離,消毒,家族検診,安靜家族の理解と分けて,+2,-1,0,-1,-2,の符号で分類しここで説明されたのは+2,+1は経過年数よりみても訪問回数よりみても,訪問効果が,どの項目も増加の傾向にあるのに,-1,-2,共にどの項目も効果のない結果となり,ここに訪問指導の限界が感じられ,この-1,-2,をどう解決したらよいのだろうか?
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