世界の波
去年の女性今年の女性
末松 滿
pp.54-56
発行日 1952年2月10日
Published Date 1952/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200235
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1951年に世界で1番すばらしかつた女性はだれか--アメリカPTA協會ではエリザベス・ケニーを推賞した。ケニーといつても一般人にはなじみが薄いが,みなさん方はよく御存知であろう。オーストラリアの田舎娘として生れ,看護婦を天職と心得て勉強するうち,折から流行した小兒マヒに心を痛めついに一生涯をその救療に捧げた偉大なるシスターである。正統派の醫學者たちから冷たい扱いを受けながら,ひたむきに獨特な治療法を進めた彼女前半世の苦闘ぶりは,映畫「世界の母」として終戰後まもなく日本にも紹介されたが,昭和23年ニユージーランドに小兒マヒが流行するや2,100キロの海を飛んでかけつけ,女性である同國の保健大臣を感激させたし,その後はアメリカに渡つて可哀そうな子供たちをなぐさめ救つていたものである,醫學的な論評は別として彼女の人間を愛する熱情はまさしく生ける聖女であろう。
ニユーヨークの貧しい人々から「ほがらかなお祖母さま」と慕われていたキングスバリー・シンコヴイツチは,年末ちかく84歳の天壽を全うして天國へ昇つた。
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