講座
衞生行政の發達—日本の部
瀨木 三雄
1
1東北大学公衆衞生学教室
pp.31-35
発行日 1952年8月10日
Published Date 1952/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200337
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我国に於ても古くから疫病の流行襲来があつたものと想像されるが,殊に欽明天皇の時代佛教渡来の頃より大陸との交通漸くしげく,外来伝染病が猛威をたくましくするに至つた。文武天皇の大宝元年に至り「大宝令」の制定をみ我国最初の衞生医事制度とみるべき「医疾令」もこれに含まれ,医官,医学教育等に付て規定しているが,しかしその原文は今日に伝つていない。
奈良朝時代には仏教の影響大にして僧尼が医術を行い慈惠医院(施藥院)の設立等仏教主義に基く,慈善衞生行政が行はれたが,しかし尚この時代の衞生制度の根幹は大宝令によつた。
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