講座
夏の結核患者家庭看護法
塩田 廸子
1
1国立中野療養所
pp.14-17
発行日 1952年8月10日
Published Date 1952/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200332
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日一日としのぎにくい季節になつて参りました。健康で働いている私達ですら一日の終りには汗を流し浴衣にでも着更えてさつぱりした気持になり凉風に吹かれてほつと一息つきたい季節ですがこの暑さの中を終日床の上で送らなければならない長期療養の患者さん方の並大抵でない夏の療養生活を考えてみますと,もし私達の手で少しでも夏を凉しく暮して頂けたらどんなにか患者さんをよろこばせてあげられるのではないかと思います。施設の備つた病院や療養所での療養生活はよく家庭療養の患者さんから"療養貴族"だ等と羨しがられる程色々な点で恵まれている樣ですが保健婦さんの訪問の手を待つている多くの家庭療養の患者さん方にどんな家庭にでもある手近なものを利用してよい看護技術に依つて暑い季節を少しでも凉しく気持よく過して頂きたいと思うのは私ばかりではないと思います。これから患者さんの日課を追つて色々実際的な問題を取り上げて研究してみたいと思いす。
先づ暑い季節に患者さんやその家族の方を惱ますのは,所謂"病人臭い"と言われる垢づいた汗臭い体臭ではないかと思います。病人はもとより見舞人等にも不愉快な印象を与える事もありますので身体の清潔は是非毎日実行して頂きたい看護の一つです。
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