- 文献概要
日本の国が,まちにまつた独立の日はついに来ました。この日あるがために,平和条約の締結されることが要求されていたのでしたが,戦争に関係した国のすべてが,この平和条約に調印しなかつた,即ち,日本の独立をみとめなかつたということは,何というさびしいことでしよう。世界の国々と再び戦火を交える事をしない約束を守り,軍国日本は平和国日本となつて新しく出発して満5年,テスト期もすでに通過し,出直そうとしているのに,それを心から認めないという。世界的信用を得るということ,国際的友交を結ぶということが,どれ程むづかしいかということを強く覚りました。日本の独立は認めよう,併し,あれをしてはならない,ここへ来てはいけない,と,いうような種々の条件や,認めるから戦争で失つた財産を支払えと,報いを求めるなど,日本は自分でやり出したことで,失敗した世界に迷惑をかけたのだから仕方がないとしても世界の国々も余りにも打算的すぎるような気がする。それが当り前なので,そんな考え自体が甘すぎるというのなら,最近調印をすませた印度をみてごらんなさい。印度は当初非常に深重に考慮していたようでした,そして他の国と一緒に調印はしませんでした,が,いざ腹をきめて調印するとなると,さつばり過去のことは清算して,気持よく無条件で調印をしました。何の条件もつけず心から日本の独立をよろこんでいるのは印度だけではないかと,印度自身はいつています。
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