随筆
友情
富川 篤郎
pp.62-65
発行日 1960年11月15日
Published Date 1960/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911205
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
フト柱時計を見ると11時近く,外は黒く静かにセコンドをきざむ音が耳にしみ込むようである。
宮川は薄暗い宿直室の電燈の下で,症例報告のペンを走らせていた。医長であるので宿直する必要はなかつたのだが,今日は特に彼が宿直を申出て交代したのである。今一度もどかしそうに時計を見た。この時,看護婦がドアをノツクして入つてきた。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.