扉
近代的な友情
pp.5
発行日 1956年3月15日
Published Date 1956/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910072
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巣立つ人,新入する人,毎年のことながら看護学院の三学期は悲喜交々で又忙しい。「四羽烏」の異名をとつた仲のよい4人の3年生は,卒業の曉は揃つて公衆衛生分野に活躍することを目指して保健婦学院に入学する予定であつた。ところが,保健婦学院に,看護学院と違つて授業科も食費を支払つて全く独立して勉強しなくてはならない。今までのように気らくに構えていられなくなつた。それにこれ以上親に迷わくもかけられない。小さい四つの頭が相よつて種々知恵をしぼつた結果,次のような約束成立し4月をまつて着々とすゝめられたのであつた。即ち,4人のうち,まず2人が保健婦学院に入学することとし,後の2入が病院に勤務して,其の俸給の中から2人の授業料と食費を支払い1年後に保健婦学院を巣立つた先の2人が保健婦として就職し,其の俸給から後の2人の必要経費を支払い次の年の3月,めでたく後の2人も卒業し,今は4人揃つて公衆衛生の分野に美しい友情の花をさかせつゝ活躍している。という話を,過日訪問した或る保健婦学院の先生からうかゞい,これこそ最も近代的な,明朗な友情のあり方であると感激した。他人から援助を求めようと思えば其の方法もあつた。学院にも又奨学制度もあつたのだ,併しどこまでも自己の完成は自分の力で,やりとげた美しい,健康な行為には,心から賞賛したい。この4人は将来,責任ある行動と共に,協力的チームワークにきつと素晴しい成果を收めるに違いないと思つた。
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