--------------------
公衆衛生の動き
後藤 正宏
pp.42-43
発行日 1952年7月10日
Published Date 1952/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200321
- 有料閲覧
- 文献概要
1
平和条約が正式に効力を有つようになつて,大使,公使も次々に任命され,外交界も急に活気づいてきた。之に伴つて厚生省でも海外駐在防疫官制度を復活するよう努力をしている。この案は昨年も検討されたが,大蔵省から予算が貰らえず,一年延期となつたものである。終戦後2〜3年に吾々が経験したコレラ,発瘡の流行も昨今では殆んど国内で見られなくなつた。しかし中共とは現在取引がたいから良いようなものの,隣には危険な伝染病の多い朝鮮がひかえており,又インド,ビルマ等コレラや痘瘡の本場との交通量も次第に増加している。このために折角姿を消したこれらの伝染病が再び国内に侵入する危険性が無いとは云えない。海外駐在防疫官制度は伝染病侵入防止の第一線機関として重大な意味をもつている。その他に輸入食品を衞生の面から監視するために輸入食品検査官を海外の主な港に置こうとする案もある。之は昨年の麦角問題や黄変米問題等に鑑みて折角輸入した食品を日本の港に入つてから海中に投じたりすることのないように予め外国の港で検査をしようというのであるが,実際面に於て円滑に活動できるかどうか少し疑問である。ともあれこのように衞生行政の面でも海外え進出しようとゆう動きのあることは誠によろこばしい。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.