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社會保險における保險給付の中には療養の給付,傷病手當金,出産手當金,障害年金,埋葬料,乳兒哺育手當金,失業手當金等がありますがその内の療養の給付と呼ばれるものは疾病傷害の治療を目的とするものであつて現行日本の健康保險においてはその範圍を次の樣に規定しております。1.診察 2.藥剤又は治療材料の支給。3.處置手術その他の治療 4.病院又は診療所えの収容 5.看護 6.移送,之等の給付のやり方には一般に二通りの方法があつて,例えば醫師にかかつた場合醫師の請求によつて保險者が直接診療費を醫師に支拂う場合を現物給付と云い患者が直接醫師に支拂いをしその金額について保險者が患者に支拂をする樣な場合を現金給付と云います。健康保險に於ては醫療の給付は現物給付を原則としており,特別な事情で保險醫にかかれなかつた樣な場合の外は現金給付は認められません。然し輸血の場合の血液代や,義手義足,コルセツト,看護料,移送費等は現金給付で行われ,法律では,療養費の支給と呼ばれています。醫療給付の範圍についてはその制度によつてまちまちで外來診療,入院治療,專門醫治療,齒科診療,藥剤及器具の支給等全部を包括するものもあれば又その一部を給付の範圍から除外しているものもあります。例えば,國民健康保險では大部分の町村で齒科は給付の範圍外としておりますし,米國に於ては入院費(入院中病院が行うすべてのサービスを含む)を給付するのはブリユークロス(青十字)という保險であり,治療費(醫師えの支拂)を給付するのはブリユーシールド(青楯)と云う保險であります。
同一疾病に對する療養給付の期間については最高給付期間を定めているものが多く健康保險では2年,國家公務員共濟組合では3年であります。ブリユークロースでは1年間に120日の入院給付が認められております。ニーユジランド,イギリス,スエーデン等では醫療給付期間に制限を設けておりません。
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