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醫療の組織について
暉峻 義等
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1勞働醫學心理學研究所
pp.47-52
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200492
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1.開業醫制度はどうなるのか
私の周圍には,いつも病人が絶えたことはない。私の身近かにいる,仕事の上でたえず交渉をもつている人々,近親縁者,同郷の關係者,ふとした機縁によつて深いつき合いをするようになつた人々等のうち,誰かが病氣をしている。病人やその周園の人達は私が全然病人を診察したことのない,素人忙等しい人間であることを知りぬいているが,それでも私が醫學の畑のものであるのでいろいろと相談をうける。また相談をうけないまでも,困つている病友やその家族には,自分でできるだけの援け手をのばす責任を感ずる場合があつて,病氣のもたらす不幸や不安や,病人の苦悩については常に人ごとでなく思う場合が多いのである。
『どの醫師にかかろうか』『どこの病院に入院しようか』,『ある醫師にかかつているが,どこか他の醫師に診てもらいたい』,『今,どこのある病院に入院しているが,醫師のいうことがはつきりしないから不安でならない。一度訪ねて來てほしい』「いろいろ手をつくしたが,醫師はどうもしてみようがないという。東京に○○療法というのがある。その講演をきいた人の話では,この病氣もその療法で治るという。どうせ醫師に見離されている病人だから,そこへでもいつて治療を受けてみようと思うがどうだろう。お前の意見によつて決心をきめたい』『健康保險の醫療の給付が切れるので,そのさきどうしようと思う。
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