発行日 1951年4月15日
Published Date 1951/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906836
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忙しい實地醫家や看護婦が,ふつうやり慣れているような注射器消毒の方法では,いろいろな細菌性の病氣が,注射器を媒介として人から人に傳わつていく危險が多いという事實がさいきんとくに世界的な話題となつている。
その理由の要點は,一人の患者の皮下とくに筋肉内に注射をするとき,患者の組織のなかの血液や体液が,案外にやすやすと,しかもかなり明かに注射器のなかに逆流してくるととが證明されるようになつてきたからである,從つてただ針先だけを取りかえて,同じ注射筒で何人にも注射をすることは,患者の体液をあとの人に傳えるもとになる。もしその体液のなかに,例えば血中にひろがりやすいチフス菌とか梅毒菌とかがいたとすれば,あと何人もの人にその菌のつたわる危險があるわけである。
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