調査報告
ベテラン保健師が行っている地区診断のための情報収集の特徴―母子保健活動より
俵 麻紀
1,5
,
北山 三津子
2,5
,
御子柴 裕子
3
,
安田 貴恵子
3
,
頭川 典子
4
1国立看護大学校
2岐阜県立看護大学
3長野県看護大学地域看護学講座
4長野県看護大学大学院博士前期課程
5前長野県看護大学地域看護学講座
pp.856-863
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100158
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■要旨
地区診断の方法論を追究するために,経験豊かな保健師が地区特性に関して,どのような情報の何を判断しながら,どのような場面や方法で得ているのかに関する認識の内容を明らかにして,その特徴を考察することを目的とした。
自立的に応用性の高い活動をしているベテラン保健師1名を調査対象とし,学生実習時に行う受け持ち地区(H地区)の地区活動のオリエンテーションに,教員として研究者が同席して詳細にメモを取り,後日保健師に個別面接をし,記述内容の確認と修正を行った。得られたデータから,情報内容,情報収集場面や方法,保健師の考え・判断を示していると判断した内容を抽出してカテゴリー化を行った。
とらえている情報内容は,文化的特徴,生活に関する細かな情報,関係者の生き方や考え方,歴史的背景を踏まえたうえでの地区の人びとの行動や考え方の傾向,社会資源の現状であり,それらは資料・書籍,住民や関係職種との話し合い,訪問などを通して得ていた。保健師の考え・判断は,活動目標の設定,キーパーソン探し,ニーズの事業化,個別援助を大切にする,であった。
保健師は,個別援助を基盤として共通問題を探り,問題解決のための活動目標のひとつとしてネットワーク化を試みており,保健師活動の原則を踏まえて活動を実践していた。このベテラン保健師の地区診断の特徴は,①歴史的経過を踏まえたうえで現状を理解する,②活動目標に必要な情報を意識的に収集する,③人的資源発掘のために関係者の生き方・考え方をとらえる,ことが考えられた。
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