特集 コミュニケーション・スキルを磨こう! 「社会心理」の窓から地域をのぞく
「携帯」パワーとメディア・コミュニケーションの可能性
川浦 康至
1
1横浜市立大学国際文化学部
pp.132-137
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100004
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くらしのなかの多機能携帯電話
この冬,女性たちの間で流行ったファッションに「指出し手袋」がある。ネイルアート(爪の装飾)を保護するために売り出された商品なのだが,意外な方面で評判になった。メールを多用するケータイ族も飛びついたのである。指先が露出しているため,手袋をしたままでもキーが押せ,イライラすることもない。指先のない手袋は以前からあったが,利用者は一部の人に限られていた。それを変えたのが携帯電話である。バッグやジャケットのケータイ専用ポケットに加え,いまや手袋界にまで携帯電話は進出した。
携帯電話が日本に登場したのは,いまからおよそ16年前の1987年4月である。NTTから売り出された802型という機種は,当時,画期的な軽さといわれながら900グラムもあった。利用料も高く,加入時に支払う保証金が20万円,月額基本料は2万3000円もした。3分あたりの通話料は240円。それが少しずつ下がっていき,保証金制度もなくなり,契約の敷居が低くなるにつれ,加入者も倍々ゲームで増えていった。とりわけ1996年以降は,毎年1千万前後のペースで伸びている。2002年11月時点での契約数は,携帯電話7300万台,PHS 560万台となっていて,合わせると8000万近い数字になる。
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