PROFILE
—萩生田 千津子—生きる勇気を配達(!?)する車椅子の女優—『自然な人間関係を世の中につくっていきたい』
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pp.379
発行日 1988年4月1日
Published Date 1988/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923129
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「病院のリハビリで,マットの上に足を伸ばして上腕をつっぱる訓練をしていたら,通院している四肢麻痺の子で,よく見かける少年が私のところへいざってきて,さかんに私のひざのあたりをさわるのね.何をやっているのかわからなかったけど,きっとひざにほこりか何かがついていてそれを払ってくれたんだと思ったの.お礼を言ったんだけど,また同じことを繰り返すので,どうしたらいいのか迷っていたら,ちょうどその子のお母さんが近くに戻ってこられた.『そう,○○ちゃん,萩生田さんの足がよくなるようにってさすってあげてるの』っておっしゃるんですね.私,そのときとても自分が恥ずかしかった.自分のからだが不自由なのに,他人(ひと〉のことまで心配してくれてるなんて考えもしなかったから…….『ありがとう」って言いたいんだけど,涙をこらえるのに精一杯で,言葉が出ませんでした」.
昨年12月,神奈川がんセンター看護部主催の講演会に萩生田さんは招かれた.その講演の1コマである.
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