訪問看護 私たちの実践レポート・12
リハビリテーション病棟看護婦による訪問看護
本村 節子
1
,
島崎 文子
1
,
宮崎 公美
1
,
出口 八重子
1
1国立療養所長崎病院理学診療科病棟
pp.190-194
発行日 1985年2月1日
Published Date 1985/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923029
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訪問看護のあゆみ
当院では,昭和53年1月に脳卒中患者を中心としたリハビリテーション病棟が発足した.障害を抱えた患者の看護を行なう上で,継続看護の必要性を肌で感じながらも,その方向性や方法をすぐに見い出すことはできなかった.しかし,患者が,入院中,ADL(日常生活動作)能力を獲得・回復するように援助した私たちが,退院後の患者の家庭生活の実際を知らないままでよいのだろうか,何か行なうべきことがあるのではないだろうかと考えて,とりあえず同年9月に訪問看護を開始した.
当時は訪問も不定期のものであり,例えば入浴介助や歩行・車イスによる散歩の介助など,院内における看護の一部をそのまま家庭内に持ち込んだ形をとっていた.しかし,私たちの訪問看護は永続的に行なえるものではないために,単に看護技術を在宅の患者や家族に提供しても,真の意味での看護の継続につながらないことを痛感させられた.また,訪問してみると,例えば監視歩行が可能な患者が日課に歩行訓練は行なっていても,日常の生活はベッド周囲にとどまっているなど,生活に患者の能力が生かされていなかったり,家族があまりにも手を出しすぎたりその逆に出さなすぎたりで,適切な介助が行なわれていない場面にしばしば出会った.私たちが入院中の患者から想定した患者の家庭生活と,現実との落差の大きさを突き付けられた思いだった.
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