外来看護 塩田医院における実践報告・4
家庭での看とりを支える
金光 俊子
,
石田 マサヱ
pp.474
発行日 1983年4月1日
Published Date 1983/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922932
- 有料閲覧
- 文献概要
2年前の昼休みのこと.診察室の前を通りかかると婦長と院長がいつになく深刻な表情で話し合っていた.招じ入れられると,話題は数か月前に結腸癌の診断でT専門病院に紹介した72歳のKさんのこと.早速開腹手術が施行されたが,すでに浸潤や転移が広範で,極めて不良な予後が家族に告げられたそうだ.ところが後を継いで農業を営む長男が今朝訪ねて来て,‘オヤジの余命がいくばくもないのなら,家に引き取ってみんなで看病し,最後の親孝行をしたい,ついては協力していただけないか’と依頼されたのだという.今その対応の可否を相談しているのだがどう思う?と質問が飛んで来た.
‘引き受けましょうよ.家庭でのターミナル・ケアにいま私たちが関与するのは,日ごろから先生を先頭に努力している訪問看護の経験をさらに深く積み重ねられる貴重な機会ではないでしょうか’と思わず口ばしってしまった.‘やっぱりそうよね’と婦長.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.