素手でつかむ看護 心に残るマラウイでの生活・8
貧血と栄養不足とマラリア
工藤 芙美子
1
1神奈川県立こども医療センター
pp.949
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922854
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1979年は国際児童年.しかしここでは相変わらず沢山の子供が死亡している.1月,栄養不良,貧血の児が増えて患児全員貧血となる.食物のたくわえのなくなる時期である.最も重症でHb 1.8 gという患児を見たことがある.値を信じることができなかったくらいだ.普通は黒いはずの肌が蒼白い.
ここではHb7g以下には即輸血を行う,父母・家族の血液型のクロスマッチを行い,受血できない場合は,近くの高校に頼んで給血してもらい,コーラ1本が与えられる.輸血後2日目に検査して,値が上がっていれば退院となる.1日8人の輸血を私がしなければならなかった.スタンドが少ないため処置台に3人乗せ,ベッドに2人ずつ乗せて,頭皮に刺したりしたが,2人目を刺したころには,もう1人目の子が針を抜いている.母親は乳を吸わせて,ぽかんと外を見ている.
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