看護に生かす交流分析・3
自我状態に関する様々な問題
白井 幸子
1
1国立療養所多磨全生園
pp.941-944
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922797
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肯定的にも否定的にも働く自我状態
前回まで,主に自我状態について説明してきたが,‘親Ⓟ’‘成人Ⓑ’‘子供Ⓒ’という3種の自我状態は,いずれもそれが本来的に‘良い’あるいは‘悪い’と評価されるものではなく,どの自我状態も,それが状況に対して不適切に,偏ったり行き過ぎて使用されると,良くもなったり悪くもなったりする.すなわち,どの自我状態も,使い方によって肯定的にも否定的にも働くのである.
例えば,‘批判のⓅ’が肯定的に働くならば,それは我我に,‘人間とは,物事はかくあるべきである’という倫理観・道徳観を植えつけ,我々が善悪をわきまえて行動することを可能にしてくれる.ところが,この側面が行き過ぎると,他人に圧力をかけたり,威圧的になったり,批判的になったり,偏見を抱いたりする.
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