ベッドサイドの看護
死に臨む人の心を探る
小川 真理
1
,
玉井 文
1
,
藤原 かおり
1
,
坂本 佳
1
1高知県立中央病院5B病棟
pp.787-791
発行日 1989年8月1日
Published Date 1989/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922339
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当病棟は内科病棟であり,悪性疾患を持つ患者が常時25-35%いる.平均して年間40-50人の方が亡くなられている.このように数多くの死に直面していながら,死はただ呼吸が止まり,心臓が止まるという形のまま私たちの前を素通りしていた.それは死に対する患者の苦痛や不安を前にして,これまでは技術的側面での対応しかできていなかったからである.
今回,私たちは,自ら一切の延命処置を希望せず,死を受容した患者を看とることができた.通常,臨床の場でこのようなケースに巡り会うことは希有である.私たちはこのように死を受容できた背景には,患者が持っている様々な要因が満たされていたためと考えた.そこでその要因について,患者のプロセスレコードを含めて分析を行なった.分析にあたっては柏木哲夫氏の「ガン宣告に関して考慮すべき要素」1)の10項目の内,受容能力に関与すると考えられる8項目について検討した.性格の分析にあたってはエゴグラム2)を使用した.
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