グラフ
病棟演習を組み入れて「申し送り」を見直す—長崎で開かれた第9回精神科看護事例検討会での試み
pp.638-643
発行日 1989年7月1日
Published Date 1989/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922306
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車1台がようやく通れるような狭い坂道の両側に軒を重ねるようにして民家が連なる.通行人をよけながら軒先をかすめて走る車中から外を眺めると,所々視界が開ける空間の向こう,入りくんだ丘の傾斜地に,貼り絵の紙片1つ1つを置いたように民家がびっしりと立ち並んでいる.人が住めそうな場所はすべて使い尽くしてきたといった感じのこの町並みを,遠近両方で見ていると,おのずと鎖国時代,西欧文化との唯一の接点であった長崎の歴史と,人間の生きる営みのすごさに思いが及ぶ.
長崎の中心地から約2km,小高い丘の上に建つ西脇病院は1看護単位当たり約90床,3つの病棟で合計265の病床を有する単科精神病院.基準看護もまだ取れておらず,マル優をつけるのがためらわれる日本の平均的な民間精神病院である.しかし,1957年に設立されたこの病院では,院長が初代から現在の西脇健三郎院長(理事長兼務)に代替わりした1982年を契機に,それまでの収容監置,病院完結型の精神病院から,当たり前の精神医療が行なわれる“普通”の精神病院づくりを目指した改革が進められている.
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