特集 失禁看護に目を向けよう
中高年女性の尿失禁—失禁クリニックからの報告
近藤 厚生
1
,
斉藤 政彦
1
,
加藤 久美子
2
,
大村 政治
3
,
佐井 紹徳
1
1名古屋大学医学部泌尿器科
2ペンシルバニア大学泌尿器科
3名鉄病院泌尿器科
pp.568-572
発行日 1989年6月1日
Published Date 1989/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922291
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
従来より我々は膀胱尿管逆流,膀胱ペースメーカー,二分脊椎症や外傷性脊髄損傷患者の排尿管理,人工尿道括約筋,不安定膀胱などを主に研究してきた.これらに罹患する患者は,自覚的ならびに他覚的症状を必ず有している.一方,尿失禁外来で遭遇する患者の多くは健康そのものであり,腹圧負荷時にのみ尿が漏出する.従って安静を保ち,外出を控えれば尿失禁は起こらず,ましてや生命を脅かすものではない.
尿失禁は幼児のそれを連想させるためか,強い差恥心を伴うようであり,このため医師に相談する人は大変少ない.すなわち尿失禁は身体的な障害(physical handicap)につながることは少なく,むしろ患者の情緒面や社会生活を送る上で障害(socioemotional handicap)となっている.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.