特集 失禁看護に目を向けよう
失禁からの自立を目指して—英国の失禁問題と日本を比較して
西村 かおる
1,2
1ACA(Association of Continence Advisor)
2ICS(International Continence Society)
pp.546-552
発行日 1989年6月1日
Published Date 1989/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922288
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私が2年半の地域看護と失禁看護の学びを終えて日本に帰国してから3か月以上たった.その間,少しでも日本の状況を知りたいと,病院や老人ホームを訪ねたり,そして色々な企業の方々にお会いして情報の交換をしてきた.そこで,まだ日本の感覚に慣れ切っていない今の私から見て感じた,この3か月に出会った日本の失禁問題の状況を述べたいと思う.
本題に入る前に1つ読者の方々にご理解頂きたいのは,今から私が述べることが,一見直接失禁問題に関係ないような内容に思われるかもしれないという点だ.けれども3か月の経験から私が実感していることは,失禁問題は1つの体の症状に過ぎないのではなく,社会の体制から出た問題だったり,個人の生き方だったり,医療者の倫理観だったり,実に様々な問題に根を下ろしていて,治療に行き着くまでにその部分をないがしろにしては先に進めない,という現実が沢山あるということだ.そのようなことにも触れていきたいと思う.
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