連載 ワットさんのペーシェントロジィ[今,患者が主役の時代]・14
手術後めでたく12年
ワット 隆子
1
1あけぼの会
pp.492-495
発行日 1989年5月1日
Published Date 1989/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922273
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しがみついても生きていたい
今日は2月9日,あれっ,私の手術記念日だ.思えばいととしこの年月,あれからまるまる12年も経った.全国のみなさん,どうもありがとう.私,ひょっとしたら,このまんま生きられそう.がんになってもみながみな死ぬとは限らない,という‘生き見本’の1人に加えてもらったのかな.神よ,宇宙よ,日赤の井上先生よ,ありがとう.
12年といえば,私は今49歳だから,約4分の1.今まで生きた年月の4分の1が,がんのあとだったことになる.
九死に一生を得たあとの人生を,人はよく‘おつり’のようなものとか,拾いもののようとか言うが,私はそうは思わない.おつりなんかではない.ましてや拾ったものなんかではない.私が自分の手で,ガッシリとつかんで生きた本物の日々であった.
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