連載 ワットさんのペーシェントロジィ[今,患者が主役の時代]・8
立つ鳥あとを濁さず
ワット 隆子
1
1あけぼの会
pp.1114-1117
発行日 1988年11月1日
Published Date 1988/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922134
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会員の死
昨夕,会員のお通夜に行って来た.前にも書いたように,がん患者の会だから時に亡くなる会員がいてもおかしくないし仕方がないのだが,やはり辛い.特に個人的に親しくしていた人,それに若い人だと可哀相で泣いてしまう.いつも不思議に思うのだが,死んだ人を偲ぶ時,その人の笑顔だけが浮かび笑い声だけが聞こえてくる.なぜだろう.
この人は殊更に笑顔がやさしい人だった.享年37の若さ.9,5,2歳の幼い3人の息子たちを残して逝った.術後わずか1年7か月しかたっていなかった.私が昨年夏,ある雑誌社に頼まれてがん患者の体験談を取材した時,体験を語ってくれた1人だった.
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