SCOPE
看護婦独自の手による在宅看護サービス事業がスタート—東京・高田馬場に‘在宅看護研究センター’が設立される
pp.736-737
発行日 1986年7月1日
Published Date 1986/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921453
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老人保健法が実施されて3年,ゆつくりとではあるが,訪問看護は試行から定着の段階へと進展しつつある.これまで自治体で,あるいは病院・診療所の継続ケアとして訪問看護が行なわれてきたが,この4月から,看護婦独自の手による新しい形の在宅看護サービスが東京でスタートした.作家の遠藤周作氏が提唱している‘心温かな病院運動’の一環として設立された’在宅看護研究センター’の活動がそれである.
日赤医療センターICUの婦長を経て日赤中央女子短大講師を勤めていた村松静子氏らがボランティアとして訪問看護活動を始めたのが3年前.医療センターに入院していた半植物状態の,患者の家族から,何とか在宅で患者うを看てもらえないかと頼まれたのがきっかけだった.主治医の協力を得て訪問が始められたか,医療機器,薬品,衛生材料など何でも潤沢に揃一ている病院と在宅てはまるで勝手が違うのにひどく戸惑つたという.しかし試行錯誤を続けるうちに,患哲・家族を生活の場でまるごと看ていく訪問看護の魅力に取りつかれていく.ないないづくしの工夫の中で,逆に看護の豊かな可能性が引き出され,患者・家族と共に歩む在宅看護を,事業として看護婦の手で実践していきたいという夢が芽生え,ふくらんでいった.
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