特集 嫌いな患者—内なる苦手意識の克服
苦手な患者が苦手でなくなる時—精神科看護の現場から
伊東 シズ子
1
1国立東尾張病院
pp.178-183
発行日 1986年2月1日
Published Date 1986/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921326
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はじめに
いやな患者,嫌いな患者,苦手な患者──それぞれに多少のニュアンスの違いはあるにしても,看護婦が患者をこのような目で見ることはタブー視されてきたように思われます.どんな患者をも,公平無私に看護することこそ,私たちの理想には違いありませんが,私たちもやはり人の子,そう建て前通りにはまいりません.そういう人を作らないようにと,いくら努力しても,なんとなく肌が合わない人とか,いやな感じのする人とか,苦手意識を持ってしまう人とかがあることは否定できません.
こうしたことは,あまり深刻に考えますと,プロ意識を疑われたり,罪悪感に陥ったり,果ては自信をなくしたりするおそれもありますが,わが内なる心の動きを知ることはとても大切なことで,次の看護へと生かすためにも看過することはできません.この際自らの拙なさ,貧しさなどの恥をさらけ出して,この問題を考えてみたいと思います.
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