連載 道拓かれて—戦後看護史に見る人・技術・制度・22
しなやかにしたたかに看護の灯を—厚生省看護課
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.974-977
発行日 1998年10月1日
Published Date 1998/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661905693
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はじめに
入学式,戴帽式,卒業式と,学校の主だった行事には必ず壇上から祝辞を述べる存在が,こずえたちにとっての厚生省看護課であった.これは,卒業後もほとんど変わらぬ印象で,日常の仕事を通してはあまりその存在は意識にあがらず,誰が課長になろうと現場の看護にはあまり影響ないといった感じで過ぎてきた.
現在でも,病院に働く看護婦たちにとっては,厚生省看護課という名を知ってはいても,そこで何をしているのかを,正確に承知している場合はかなり少ないのではないだろうか.関心がないだけではなく,できればあまりかかわりを持ちたくない気持ちもはたらく.このような傾向は,自治体の医療整備課や看護係に対しても同様で,コンタクトをとる必要があっても,なんとなく躊躇(ちゅうちょ)する気持ちがはたらく管理職も少なくない.古くからある庶民のお上意識の延長でもあろうか.
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