ニューヨークのナーシングホームから・6
したたかに生きるちょっとボケた人たち
吉田 冬子
1
1Mary Manning Walsh Home
pp.706-707
発行日 1986年6月1日
Published Date 1986/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921446
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普通老人病棟では全員セルフ・ケアで入浴もベッドメーキングも一応,独立してできるので,勤務体制は,ナース1名,エイド1名で40床を受け持つ.軽度の痴呆の人もいるが,それはアルツハイマー病ではなく,脳動脈硬化症によるものが多い.
痴呆というとよく聞くのは,老人が昔話ばかりするようになり,ある日突然,自分の娘を見て,‘こんなのうちの娘じゃない.うちのはもっと若くてきれいなんだ’と主張したり,長い人生の風雪に耐えてきただけあって食欲は衰えず,食事が終わったばかりなのに‘ゴハンまだかい’と催促.夜,昼の区別なく外に飛び出し俳徊する.そんなイメージがあるが,当病棟の入居者は,痴呆のごく初期で時と所を時々忘れる程度である.
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