NURSES' VIEW
‘ホスピスからのレポート’を読んで
岩井 隆子
1
1大阪市立大学医学部付属病院外来
pp.505
発行日 1985年5月1日
Published Date 1985/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921074
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かつて,病棟で働いていたころ,また臨床指導に学校から出向いていたころ,末期患者に出会う度に,何か言い知れぬ思いを抱き,自らの無力さに,情けない思いをしたことが何度あったことでしょう.医師によって延命への治療や処置が次々となされ,その中で家族は,ただおろおろするばかり,患者にとって,何を,どうすることが最もよいのかという看護婦としての主体的な働きかけもなく,事が運ばれます.また,家族への対応でさえも,その難しさゆえにか避けたがる傾向さえ見受けられました.
その後末期癌患者の手記や死に直面した患者への看護に関する書物を読んだり,カウンセリングの学習をする中でホスピスという言葉を知り,とても興味を持つようになりました.死への看護についてのセミナーにも参加し,柏木哲夫氏や寺本松野氏の講演を聴き,わが意を得たりの気持ちで,満足して帰った日のことを思い出します.
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