老人ホームの訓練室から 極楽寺山通信・12(最終回)
生活の場ならではの方法論をめざして—S. K. さんのナースコール〈下〉
三好 春樹
1
1特別養護老人ホーム“清鈴園”
pp.453-456
発行日 1985年4月1日
Published Date 1985/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921060
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さて先月の種明かしから
訓練開始に伴って落ち着きをなくし,夜間ナースコールを押し続けるS. K. さんがキョロキョロと首を動かすのを見て“同名半盲の代償行為ではないか”と言ってくれた友人のアドバイスどおり,S. K. さんは〈左同名半盲〉であった.
これは,図1を見ていただければお分かりのように脳卒中の病巣が視神経束にまで及んでいるために起こる症状で,左麻痺のS. K. さんの場合は,両眼に入ってくる左側からの光刺激が視交差より後ろの部分の病巣で断ち切られていて,後頭葉まで届かない.従って眼球には何の異常もないのに,視野の左半分は見えていない,という症状である.
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