若手ドクターの広場
アルコール低減外来という方法論
吉本 尚
1
1筑波大学医学医療系地域総合診療医学/筑波大学附属病院総合診療科准教授
pp.34-35
発行日 2021年7月30日
Published Date 2021/7/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.09.02_0034-0035
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2019年1月17日。私のなかでの大きな転換点であった。茨城県の最北端,北茨城市にある北茨城市民病院附属家庭医療センターで,飲酒量低減外来の看板を掲げた。アルコール依存症の治療に自分も関わります,と宣言した日である。それまでは,われわれアルコール非専門医はアルコール依存症の方を治療してはいけない,治療するべきではない,そう思い込んでいた。各国のエビデンス・ガイドラインをみても,医療者がブリーフインターベンションの研修を受けて行うのは,アルコール依存症の手前の,有害な使用の治療であった。アルコール依存症をもつ方は,アルコール業界のいわばエリートであり,われわれ素人が中途半端に治療に手を出すべきではないと思っていた。プライマリ・ケアの医療従事者研修では,「アルコール依存症の方は適切に専門医療機関へ紹介するのがわれわれの仕事です」と伝えていた。
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