老人ホームの訓練室から 極楽寺山通信・8
個人・家族・社会—関係の世界から見た〈寝たきり〉
三好 春樹
1
1特別養護老人ホーム清鈴園
pp.1413-1416
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920957
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〈家族関係〉か〈訓練指導〉か
家庭に戻ると〈寝たきり〉になるケース
脳血管障害の発作を起こして入院してきた患者さんが,急性期を過ぎて医師やナース,家族がほっとひと安心というころから,今度は私たちPTやOTが患者さんに関心を向けることになる.そしてその関心が退院した後にまで及ぼざるを得ないのは,たとえ機能訓練で十分な成果を得て退院したケースでも,すぐに〈寝たきり〉になってしまう例を多く経験しているからである.
いったい何のための訓練をしてきたのだろうという思いに駆られないために,私たちPTは〈ホーム・プログラム〉を指示し,‘毎日やってくださいね’と本人にも家族にも何度も念を押して退院してもらう.しかし,これが患者さんにとってはいかに困難なことであるか,我々にも分かってきた.それはちょうど私たちが‘毎朝ジョギングするように’と言われているようなもので,3日も続けばよいと思わなければならない.
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