グラフ
生き生きとした‘生活の場’としての老人ホームを目指して—特別養護老人ホーム“清鈴園”に見る個別ケアの思想
蛯江 紀雄
1
,
岩下 守
,
本誌
1清鈴園
pp.256-261
発行日 1984年3月1日
Published Date 1984/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920715
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特別養護老人ホーム“清鈴園”は,広島駅から約15km西方,廿日市町の小高い丘の中腹に位置する.1971年10月,西中国キリスト教社会事業団が,戦争への反省から‘原爆被爆者を中心とする老人ホーム’として設立して以来,12年の歴史を持つ.現在の人所者は58名で寮母16名,看護婦2名,PT1名,ケースワーカー1名,往診に来る医師1名,その他のスタッフで,要介護の老人ケアという本来の目的を果たすかたわら,廿日市町と,隣接する五日市町の在宅寝たきり老人約20名の入浴サービス,ショートステイサービス,介護相談サービスなどを通して,地域にも広く窓口を広げた活動を展開している.
同園に一歩足を踏み入れて驚かされるのは,一部屋4人,1人当たり4畳半ほどもある居室の広さである.老人たちは,好みの生活用具を持ち込み,それぞれ個性的で実に生き生きとした生活感あふれる日常生活を営んでいる.それは‘個別的にできる限り本人の要望に応える’というケアの思想が職員に徹底しているためである.
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