グラフ
人間らしい“情感の共有”を手探りしながら—佐賀県・いぬお病院にみる開放医療の実践
犬尾 貞文
1
,
平井 妙子
1
,
岩下 守
,
本誌
1いぬお病院
pp.16-21
発行日 1984年1月1日
Published Date 1984/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920663
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佐賀県鳥栖市の市街地の端にある‘いぬお病院’(犬尾貞文院長)は,昭和51年に開設された,精神科(単科)としてはまだ歴史の浅い中規模(150床)の民間病院である.しかし,開院以来,‘地域に開かれた精神医療’を目指す真摯な姿勢と,地味ながらも着実な実践によって,‘精神病院らしさのない,自由で開放的な病院’として患者・家族だけでなく,地域の人々にも知られ,親しまれるようになった.
‘開かれた精神医療を目指そう’という犬尾院長の理念は,一見するとペンションかロッジを思わせる近代的な建て物の外観,ガラスをふんだんに使った採光,広いゆとりのある生活スペースを重視した病院設計によく生かされており,それが‘精神病院らしさのない’印象を与えるが,管理・運営においても‘自由で開放的な病院’という基本方針が一貫されている.病棟は全部開放病棟(ただし保護室6床)であり,入院生活における規則や制約はほとんどなく,すべて患者の自主性・自発性に任されており,それはかなり徹底している.
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