ベッドサイドの看護
てんかん病棟の看護を求めて
長谷川 和子
1
,
中室 むつみ
1
,
てんかん病棟スタッフ一同
1国立武藏療養所てんかん病棟
pp.1278-1283
発行日 1983年11月1日
Published Date 1983/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919999
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はじめに
てんかんは,繰り返す発作症状を有する慢性疾患である.発作は,意識を失い強直・間代性痙攣を伴って転倒する大発作から,一瞬ボーッとし,周囲も気づかない程度の発作まで様々である.国立武蔵療養所てんかん病棟(ベッド数48床,保護室2,男女混合)に入所中の患者では,繰り返す発作症状のほかに,知能障害,意欲の低下,幻覚・妄想などの精神症状や四肢の機能麻痺,小脳失調などの身体的症状を有し,看護上の問題も多様である.
当病棟ではこれまで,“病棟活動計画案”に基づき,看護活動を意図的に展開してきた。入所者の抱えている問題は,発作のみにとどまらないため,看護の目は‘発作症状を持つ人間’に対して向けられてきた.患者の問題解決のためには,家族をも含めて広範囲でかつ複雑な看護活動が要求される.しかし看護チームが持てる力にも限度があり,頻繁な看護職員の交替も重なって,ともするとチーム全体が持てる力を十分に発揮しえないまま右往左往することも多くあった.また病気の性質上,予測できにくい発作により看護が中断されることが日常的である.
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