癌医療最前線 国立がんセンターにおける癌医療・3
二重造影法による消化管撮影
pp.244-247
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919799
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二重造影法の発見
胃・食道・腸の粘膜をX線写真で撮ろうとしても,造影剤のバリウムを飲んだだけでは,消化管の全体像は撮れるが内部粘膜表面の変化などは観察することはできない.そのため欧米では,胃の場合ならば外部から胃を圧迫して,見たい部分のバリウムをよけるようにして,なんとか粘膜の変化を読みとろうとしているが,不完全な像しか読みとれないまま現在に至っている.
我が国では欧米と違い,癌患者の中で胃癌患者の占める割合が一番多く,胃癌の早期発見は至上課題であった.そこで,今から20年ほど前に千葉大出身の自壁彦夫順天堂大教授,市川平三郎国立がんセンター病院長,熊倉賢二慶大教授らが,X線が空気をよく透過することからヒントを得て,胃粘膜表面にバリウムを付着し,かつ胃内腔に空気を注入して胃のX線写真を撮ると,陽性の造影剤に相当するバリウム(フィルム上白く写る)と陰性の空気(黒く写る)とがよくコントラストを呈して,粘膜表頂の小さな変化を見ることができることを発見し,胃のX線検査法として完成させた.それが二重造影法である.
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