心病む人とともに 精神科病棟での日日・1
精神科看護との出会いのころ
三宅 富貴子
1
1医療法人朋和会東春病院
pp.78-79
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919762
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はじめに
精神科看護13年を振り返って
名古屋大学医学部付属病院に勤務して14年半,そのうちの13年半を精神科病棟で過ごした.過ぎた日々を振り返るのは老いた証拠かもしれない.13年間など振り返るに足りぬ年月と言われるかもしれない.しかし何がどうあれ,精神科での13年半は私の看護者としての歴史に相違ない.大学という巨大な機構の中のほんの片隅に,心病む人々とともに過ごしてきたなかで,私の担ってきた役割は何であったのだろう.確かな手応えのないまま,何かをしたという足跡の証(あかし)のないまま,それでも13年は確実に過ぎてきた.仕事を通してのさまざまな人々との出逢い,別れ,そして怒り,悲しみ,喜び……この慣れ親しんだ病棟を去り,東春病院という精神科専門病院へ転勤することになった今,折々のエピソードを繙(ひもと)きながら,幾多の思いをこめて,今日までの私自身の精神科の歴史を振り返ってみたいと思う.
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