昭和の初めのやまい草子
梅雨のころ
皆本 紘志
1
1大阪府皆本医院
pp.514-518
発行日 1989年6月10日
Published Date 1989/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207764
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雨は止んだが,道にはまだ水溜りや泥濘が残っている。遠くへ遊びに出るのも億劫らしく,三八は猫の頭を撫でていた。
猫といっても,向かい隣の洋服屋にいた猫である。かなりの年輩の牡猫で,黄と白のブチなのだが,なんとなく色褪せた毛並だった。
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