バイタルサイン・33
高血圧性エマージェンシー
道場 信孝
1
1ライフプランニングセンター研究教育部
pp.1324-1325
発行日 1982年12月1日
Published Date 1982/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919721
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高血圧は患者マネジメント上,慢性に経過する良性のものと,進行性に増悪する悪性の2つのタイプに分けられる.後者では拡張期圧(Pd)が著しく高く,治療しない場合には腎臓に壊死性動脈炎を起こし,尿毒症となって1年以内に死亡することが多い.このような進行性の高血圧はどのような種類の高血圧にも起こりうるが,最も多いのは腎疾患を伴う高血圧で,特に慢性糸球体腎炎,腎盂腎炎,腎血管性高血圧,膠原病性血管炎が重要である.進行性のタイプではPdが120mmHg以上あり,眼底に網膜浸出,出血,そして乳頭浮腫など特有の所見を認める.
高血圧性エマージェンシー(クライシス)では,Pdの急激な上昇(140mmHg以上)があり,収縮期圧(Ps)もそれに伴って250mmHg以上になることが多い.クライシスは,それまで血圧が高かったものに生じることが多いが,正常血圧者から急激に発症することもあり,後者の場合は急性糸球体腎炎や妊娠中毒症でみられる.クライシスの病態を表1に示す
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