ベッドサイドの看護
精神科看護における人間関係の重要さを学ぶ
下松 房子
1
1鹿児島県立鹿児島保養院
pp.1169-1172
発行日 1980年11月1日
Published Date 1980/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919089
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はじめに
私たちは日常業務の中で,時折この患者にいったい何をしたのだろう,看護とは,援助とは何か,という基本的問題をいやおうなく考えさせられるケースにぶつかることがある.私たちの行おうとするあらゆる援助を,まるで見透かしているかのように嘲笑し,すれ違いのまま勝手に退院して行ってしまう.このあとに残るのは疲労感やむなしさであり,自己嫌悪である,熱心にかかわろうとすればするほどこうした感じが強くなるのも,皮肉なことである.
今回紹介するのは,まさにこうした事例の典型的なものである.この事例とのかかわりを振り返ってみると,看護計画はすべて後手に回り,まさしく後追い看護そのものであった.そこで,あえてこの事例と看護の内容を紹介し,皆様のご助言,ご指導をたまわり,今後の参考にしたいと思う.
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