グラフ
‘患者さんは1人1人違うんですよね’—全開放病棟のもと個別的ケアに徹する—長野県立駒ヶ根病院
岩下 守
,
本誌
pp.570-575
発行日 1980年6月1日
Published Date 1980/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918969
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‘精神科だからといって特別な方法はないですよ,患者1人1人を受け止めることが第一じゃないですか,そういう働きかけの中で患者は自分を吐き出していく,それから看護が始まるんでしょうね’
患者個々に応じた,個別的なケアを徹底して行っている長野県立駒ヶ根病院(鴇田元夫院長)の看護婦たちから上のような言葉が最初から聞けたわけではない.1971年に医師側から病棟を開放にしたいとの提案を受けた時,看護側は実際のところかなりとまどってしまった.病識がなくどこも悪くないと思っている患者の無断離院は鉄格子と鍵でやっと守られてきた精神病院の長い歴史があったからである.看護側としてはこの提案を不承不承受け入れたといえる.だから開放体制の初期には様々な問題にぶつかり,試行錯誤の連続であった.
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