特集 難病へのアプローチ
座談会/患者・家族,住民とともにすすめる在宅ケア
木下 安子
1
,
石川 恵美子
,
高坂 雅子
2
,
大橋 誠
3
,
池上 洋通
4
1東京都神経科学総合研究所・社会学研究室
2東京都立府中病院医療相談室
3大橋医院
4日野市役所企画課
pp.19-30
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918854
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木下(司会) 難病患者さんの在宅療養を支える仕事は,保健や医療の従事者にとってはまだ新しい問題だと思います.それは医師,看護婦,医療ソーシャルワーカーなどの医療従事者だけでなく,患者さんや家族,さらにボランティアを含めた地域の住民運動の広がりの輪のなかでチームワークがなされていかなければ,とてもできないだろうと考えますが,そうした活動はどうあるべきか,今までの活動の実態をふまえながら話し合っていただこうと思います.
はじめに,患者さんの家族の立場から,石川正一君のお母さんに口火を切っていただきます.正一君は進行性筋ジストロフィー症(ドシャンヌ型)の患者さんで,1979年6月23歳で亡くなられました.4歳ごろより歩行の異常に気づいて以来18年にわたる長い闘病生活を送り,その間,短期の入院生活を数回行ったのみで,大部分を家庭で,両親の看護や訪問教師,ボランティア,また訪問診療などの援助を受けて,詩作,絵画,陶芸,彫刻など豊かな日常生活を送ったのです.
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