特集 看護は薬とどうかかわるか
看護にとって薬とは何か
江本 久枝
1
1三育学院カレッヂ看護学科
pp.1251-1255
発行日 1978年12月1日
Published Date 1978/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918556
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はじめに
近年の相次ぐ新薬の開発は,疾病治療に大きな成果をあげてきた.しかしまた,薬の乱用による薬禍の犠牲者も後を断たない.我が国の1人当たりの国民所得に対する薬の消費量が1960年以来,世界のトップにあり,人々を‘病気の治療=薬’という短絡的発想に導いている.
このような現象を,我々看護婦はどのように受け止めているのであろうか.ややもすると,薬の効果に気を奪われ,病気の体を機能別にとらえて,病気を人間全体の問題としてとらえることがおろそかにされていないだろうか.看護が薬によって失おうとしているものはないだろうかなど,薬とは看護にとって何かを考えることは,看護の本質を明らかにする重要な一過程となりうるであろう.
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