障害児を育てて 母親の手記・5
天を怨まず,人を咎めず……
本橋 澄子
pp.1081-1084
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918518
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昭和50年の発作は手足にしびれた感じが残り,息子は3か月近く休校し,学校の寒げいこにこの時初めて参加できず,悔しがっていました.でも常々大変まじめに学校生活を送った息子は,留年することなく進級し,51年には高校を卒業することができました.現在は美術学校に在学中です.
美術学校へ入学した年(51年)の11月に,息子が突然,‘近ごろだんだん視野がなくなってきたよ’と言うのです.血管腫のないほうの目です.さっそく,病院へ通院しながら検査を受けましたが,確かに狭くなっているのに何一つ原因が見つからず,眼科ではそれ以上する検査はなく,結局脳外科でCTスキャンも受けましたが,やはり何も分からず,その間に耳鼻科の検査もしましたが,原因が見つからないままでした.ところが翌年の3月ごろになると,息子は‘だんだん視野が広がってきているようだよ’と言うのです.検査の間も,そのための薬は何ひとつ服用していませんでした.
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