特集 援助の可能性と限界
援助の限界状況への取り組み
廣田 典祥
1
,
村岡 侚子
1
,
丸谷 房子
1
1国立長崎中央病院精神科
pp.1027-1033
発行日 1978年10月1日
Published Date 1978/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918508
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はじめに
日常の臨床場面で,患者が,彼のもつ心理的問題あるいは精神的疾患のために,私たちの一切の援助をさまざまな形で拒否してしまうことがよくある.病気からの回復のための,私たちの絶え間ない働きかけをまるで裏切るかのように,ある時には一挙に破壊し去ってしまうかのように,彼らは振る舞う.それらの多くは,私たちの援助に対する拒絶や攻撃の姿勢であって,患者自らが病的な破壊行動への衝動を抑えられなくなっている状況をみることができる.
患者をして,そのような存在の限界まで追いつめている状況に対し,時に私たちは無力であり,なんらなす術(すべ)を知らないこともある.しかしこの限界状況こそ,患者にとって最も援助を必要としている時なのである.このような限界状況に対し,私たちはどんな援助の手を差し伸べ,またどんな取り組みを行ったらよいのかを考えることが,援助の可能性と限界の問題に対する1つの解答となるかもしれない.
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