特集 痛みつづける患者への援助
葛藤と当惑を重ねながら
菅原 富子
1
,
佐藤 麗子
1
,
森田 芳子
1
1神奈川県立成人病センター5階病棟
pp.590-595
発行日 1978年6月1日
Published Date 1978/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918412
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はじめに
癌性疼痛は,癌の特殊性とも言われる組織への浸潤と遠隔臓器への転移,そしてそれに伴う患者や家族の不安,予後の確定から起こりうる医師や看護婦の治療へのあきらめ,さらに長期間に及ぶ療養から起こる経済的・社会的な問題,これらが複雑にからみ合って起こると言われている.持続する痛みの中でも,癌性疼痛が最も治療が困難であると言われるのも,以上のような複雑な理由によるものと思われる.
日常,長時間患者と過ごしている看護婦にとってもその痛みは,患者の単なる疾患の一症状ではなく,患者の生体反応を超えて人格までをもしばってしまう苦痛となるので,多くの問題を持ってくるのである.このような苦痛に対して,看護がどのように対応するかが今後の大きな課題である.今回は,看護が痛みに対してどれだけ貢献できるのかを,患者と看護婦のかかわり合いの中から考えたい.
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